2016年11月28日

天皇はいつ生まれたか?

最初の天皇はどうやって天皇になったか @ [日本史板]
http://science-2ch.net/a/13340
 思想的な話ではなく、学術的な話だと、天皇呼称がはじめて使われたのは天智天皇とその子の持統天皇あたりから。西暦でいうと677年前後。天智天皇は、日本が白村江の戦いで中国と戦った当時の天皇です。日本は白村江の戦いで敗れるのですが、そのまま中国が日本本土に攻め寄せてくる可能性があり、それに備えて王権を強化しないと国が滅ぶという事態に陥りました。そこで、従来の大王よりも偉い「天皇」呼称を採用し、中国皇帝と同格ないし格上であるぞと宣伝したわけです。
 実際問題、当時の中国には海を越えて日本に進軍できるほどの国力はありません。また、日本を占領したところで戦費をまかなえるだけの旨味もありません。しかし、日本が勝手に内部分裂して親中国派が国を乗っ取り、国を中国に売るかもしれないという脅威は存在しました。そう考えると天皇呼称や制度改革は、外敵に備えるものというより内部の反乱に備えたものと考えた方がいいわけです。

白村江の戦い - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BD%E6%9D%91%E6%B1%9F%E3%81%AE%E6%88%A6%E3%81%84
 以下引用。「白村江の戦いでの敗北は、元寇と、アメリカ合衆国による占領を招いた第二次世界大戦と並び、日本列島が海外勢力の占領下に入る危険性が非常に高まった戦争であった[20]。この敗戦により倭国は日本列島の領土は奪われなかったものの、朝鮮半島の領地・権益を失い、外交政策・国防体制・政治体制など統治システムの基礎部分を根本的に変革する必要に迫られた。下記に示すとおり、唐との友好関係樹立が模索されるとともに急速に国家体制が整備・改革され、天智天皇の時代には近江令法令群、天武天皇の代には最初の律令法とされる飛鳥浄御原令の制定が命じられるなど、律令国家の建設が急ピッチで進み、倭国は「日本」へ国号を変えた。白村江の敗戦は倭国内部の危機感を醸成し、日本という新しい国家の体制の建設をもたらしたと考えられている。」

壬申の乱 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A3%AC%E7%94%B3%E3%81%AE%E4%B9%B1
 で、実際に日本国内ではしばらくして「壬申の乱」という内乱が起きます。これにより大海人皇子の反乱側が勝利するわけですが、これは日本を中国に売るという動機ではなく、改革をもっと強力にしろという動機だったらしい。現代風にいえば、右翼思想のクーデター。そう考えると、壬申の乱とは古代における明治維新のようなものであったと考えられなくもないわけです。

仏教公伝 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BB%8F%E6%95%99%E5%85%AC%E4%BC%9D
 天皇制ができると、日本はそれまでの部族連合の国家から、中央集権の国家へ急速に変貌します。もともと538年の仏教公伝あたりから、中央集権へ舵を切っていたのですが、それが加速されたわけです。仏教公伝の最大の副産物は漢字の流入です。文字が記録できるようになって、官僚制が機能しはじめ、白村江の戦いで中国と正面から戦えるほどに国力が伸びました。ちょうど、黒船来航からはじまった明治維新で日本の科学文明が進化し、第二次世界大戦でアメリカと正面から戦えるようになったのと同じです。そう考えると、日本は新思想を吸収して百年ほどすると、その新思想の供給元と正面から戦わないと気が済まないのかもしれません。はた迷惑な話ですが。

2016年1月12日

北朝鮮が核武装して喜ぶのは誰なのか?

日米韓は「北朝鮮を追い詰めているフリ」など止めるべきだ
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/01/post-4342.php
北朝鮮核実験と中国のジレンマ──中国は事前に予感していた
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/01/post-4345.php
ロシア外務省 北朝鮮が発表した水爆実験についてコメント
http://jp.sputniknews.com/politics/20160106/1407937.html
 北朝鮮が核武装して喜ぶのは誰なのか? いつもの「それで誰が最大の利益を得るか」をやってみましょう。

 北朝鮮は核武装することで独立を保てるというドクトリンだから当然のこととして、日本は近隣のならずもの国家が核武装するのは迷惑なので喜びません。
 近年の中国は拡張政策になっており、当然、首都にほど近い土地にある北朝鮮領も接収の対象です。接収を計画する以上、接収を妨害する核の存在を喜びません。
 韓国も北朝鮮を併合したがっていますが、こちらは併合後に「北の核開発技術を接収して核武装を計画している」と過去に放言しているので、迷惑半分喜び半分というところでしょう。
 アメリカは極東が不安定になること、北朝鮮が中東や南米に核や核技術を輸出しかねないことから喜びません。
 最後にロシアは、北朝鮮が核武装することを喜びます。というのも、中国が拡張政策になっており、シベリアもその標的になっているため、防衛線の一部として北朝鮮が必要になるからです。ついでにいうと、日本が対ロ用の戦力を南に振り分けた理由は、中国がシベリアを狙っており、そちらに対処するのに戦力をとられて対日戦を行う戦力がないからです。

 さて、そうすると北朝鮮に核技術を援助しているのはロシアという可能性が浮上します。実際、この問題についてロシア外務省の態度はあいまいです。コメントを発表するタイミングも遅いし、激烈に非難しているわけでもない。もしかしたら彼らはこの事態を喜んでいるのではないでしょうか。そして、北朝鮮があんなに傍若無人にふるまえているのもロシアが後ろにいるからと考えると、いろいろ腑に落ちるものがあります。
 では、ロシア視点でもう少しこの問題を掘り下げてみましょう。北朝鮮が核武装することで、ロシアは当面の最大の敵、アメリカをけん制することができます。極東で緊張が増せば、アメリカは介入しなければならず、すでに多方面で戦線を展開するアメリカの負担になります。また、ロシアの手づるやルートを使って中東や南米など、アメリカが嫌がるところに北朝鮮の核を輸出させることもできます。これらの材料をネタにアメリカと交渉すれば、ロシアは譲歩を勝ち取れるかもしれません。

 ロシアのやっているゲームはアメリカのもとで安定している世界を不安定にさせる戦略です。彼らは北朝鮮に限らず、世界各地を不安定にさせて、アメリカの一極支配を終わらせようとしています。もともとアメリカが一極支配をやめようとしたタイミングで仕掛けたため、相乗効果で成果があがりやすくなっているのです。そのためアメリカは当初の想定以上に利権を奪われそうになっており、焦っています。オバマが国内右派に無能と呼ばれているのはそれが原因です。
 以上のことを念頭に、国際関係のニュースを見ると、世界がどう動いているのかがわかるようになるかもしれません。

2015年11月 6日

戦後日本が生み出した最大のモンスター

安倍政権「一億総活躍」の意味が、ようやく分かった ~なるほど、進次郎が逃げたのも納得
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/46218
家計の金融資産1209万円 8年ぶり高水準 「保有していない」も2年ぶり高水準
http://matometanews.com/archives/1788218.html
 安倍政権の経済対策は、基本的に株とか不動産とか投資が儲かるようにする対策です。逆に、株とか不動産をやらない大多数の一般国民には恩恵がありません。それはそれでひとつの経済政策ですが、投資家優遇が長期化すると、労働者保護がおろそかになり、消費者の大多数を占める中間層が貧困化します。中間層が貧困化すると、生活必需品やぜいたく品の消費が減り、国全体の消費活動が不活発になり不景気になります。
 歴代の自民党はブラック企業を奨励しないまでも、根絶しようとはしませんでした。それは、投資家にとってブラックだろうがなんだろうが配当さえ出れば労働者の生活はどうでもいいからです。そもそも労働者保護は野党の十八番であり、自民党は労働者の保護を野党に任せていました。しかし、平成になってからの野党は反戦平和という何十年も前のスローガンにしがみつき、労働者保護政策を投げ捨ててしまいました。

 民主党が政権をとったとき、民主党は都市部の労働者の保護をうたっていました。それにつられて都市部の労働者は民主党に投票しましたが、民主党は労働者保護を何もしないどころか、消費税のような労働者イジメの政策を推進しました。その結果、彼らは都市部の労働者に見捨てられ、いまに至っています。
 いまこの国には労働者保護をする政治勢力が存在しません。通常、二大政党制といえば、投資家を保護する保守、労働者を保護する革新が看板ですが、日本においてはいつのまにか労働者の保護が消滅しているわけです。
 最初に書いたように、労働者保護をなおざりにし、投資家保護を優先すると、労働者主体の中間層は貧困化します。バブルまでは、それでも問題がありませんでした。人口も給料も株価も右肩上がりだったから、行政側は最低限のことをするだけで労働者を保護できたのです。
 しかし、バブル破裂以降、野党が労働者保護を投げ捨て、与党が投資家保護の政策を続けた結果、中間層が壊滅し、消費意欲の薄い下流になってしまいました。そして大多数の消費者のマインドが下流に切り替わった結果が、物が売れない状態、つまりデフレです。デフレが続けば将来が不安視され、労働時間は延び、収入が減るので少子化が進みます。負の連鎖、デフレスパイラルです。

 さて、そうなると投資家向けに優遇策を打ち出すようなカンフル剤ではなく、持続的に景気を上向け、消費者がおおらかに消費をするようになるには、一般多数の労働者を保護し中間層を復活させることが必要です。標準的な経済学でも中間層の薄い経済は経済が回らないといっていますが、いまや政府の役目は投資をしない層をいかに優遇するかにかかっています。しかし、与党は体質的にそれができる政党ではなく、労働者保護を担当していた野党が空中分解したいま、その役目をこなせる部署がありません。ゆえに、日本の景気はいつまでたってもデフレから抜け出せず、与党がいくら投資家を優遇しても国全体の消費は冷えたままです。

 結局のところ、日本の景気を回復させるにはまず、二大政党制の理念に従って、反戦や平和よりも、都市部の労働者保護を重視する野党を作り、それと投資家の味方の自民党を適宜に政権交代させ、政策のバランスをとらなければならないということに落ち着きます。
 逆にいえば、戦後の反戦平和のスローガンが労働者の味方だった野党を殺し、ひいては日本の労働者を殺し、少子化を加速させ、景気回復を殺したということになるのでしょうか。その意味では反戦平和とは戦後日本が生み出した最大のモンスターなのかもしれません。

2015年10月 5日

極東の防波堤国家

 中国にとって北朝鮮は、アメリカに従属した韓国との「防波堤」でした。
 朝鮮戦争後、韓国はアメリカの同盟国になりましたが、冷戦が終わった頃から、中国が経済的政治的に韓国に徐々に浸透してきす。その結果、韓国は戦わずして中国の従属国になろうとしています。2015年の中国軍事パレードに、韓国大統領が、アメリカの反対を押し切って参加したのが、中国の従属国となった証明です。
 アメリカが韓国を切った理由は、同盟してもコストパフォーマンスが悪いという理由です。ぶっちゃけるなら、韓国が中国に従属した場合、日本の軍事的な負担は増えますが、アメリカの本土防衛や太平洋の通商の維持には大差がないからです。
 日米にとっての影響はその程度ですが、北朝鮮にとってこれは深刻な問題です。なぜなら「防波堤」という国家のアイデンティティーだった役割を失ってしまうからです。そこで彼らは防波堤以外の価値を作るために、弾道弾と核を開発しているのですが、それ以外にも韓国と中国の経済的政治的な和親を邪魔しようとしています。

 さて、中国からみて、韓国は対日本の防波堤として価値があります。ゆえに日本が中国に従属するまでは、韓国はそのまま独立を維持できるでしょう。つまり、韓国が独立し続けるには、日本が中国に対して敵対的でなければならないという条件がつきます。ゆえに韓国は自らの独立を維持するために日本の敵意をあおる政策をとります。実際、現在の韓国の政策はその基本方針で動いています。
 また、中国からみて、北朝鮮の帰属は韓国である必要はありません。対日本の防波堤として韓国を本気で使うつもりなら、北朝鮮は韓国に吸収させ、国力を増やすように図るでしょう。逆に、日本の脅威をあまり評価していないのであれば、北朝鮮は中国の自治領とするでしょう。北朝鮮は中国の首都に近く、また鉱物資源も多いため、それなりに重要な土地だからです。
 つまり、韓国が北朝鮮を手に入れるには、日本が本気で中国の脅威になるように誘導しなければなりません。韓国の対日政策は、日本が中国の脅威になるようにひたすらあおることが基本です。

 こうやって見ると、韓国が日米に対してひたすら挑発を繰り返す理由が見えてきます。彼らは独立を維持し、北朝鮮を手に入れるために、日米と冷たい戦争をする必要があるのです。そのためには竹島を奪うだけでなく、もっとほかの無人島を奪うことが効率的です。対馬など人口の多い島を奪うのは、冷たい戦争ではなく熱い戦争になるので、韓国は望まないでしょうが、日本海には適当な無人島が少ないのも事実です。そうなると対馬に付属する無人島を狙うかもしれません。
 そうすると日本は現在、中国を仮想敵国として戦力をシフトしていますが、これからは韓国をも仮想敵国としてカウントしなければなりません。

 さて、極東にはもう1人のプレイヤーがいます。ロシアです。彼らにとっても北朝鮮はそれなりの価値があります。これは地図をみればわかるのですが、北朝鮮は、ウラジオストックと隣接しています。つまり、北朝鮮はロシアと中国の防波堤役も兼ねていたことがわかります。仮に中国が北朝鮮を自治領化した場合、ロシアは中国との戦争を考慮しなければなりません。

 こうして極東は中国・韓国・日本・ロシアを巻き込んだ、近代極東史でお馴染みの四つ巴の構図ができあがります。
 この4者ののなかで圧倒的に有利なのは中国......ではなく、日本です。なぜなら、日本はこれら3カ国を占領する力はないものの、海運に対して経済封鎖する力があり、逆にこれら3カ国は日本を経済封鎖する力がありません。近代戦は経済がすべてですから、経済の根幹たる海運を握っているものが強い。そして日本は世界の海運を握るアメリカと同盟しており、自衛隊もそれなりの力がある。日本が強い理由がこれです。

 少し話が横道にそれましたが、結論としては、韓国は日本を挑発し、中国と敵対させようとしています。そうすることで韓国の防波堤国家としての地位が上昇するからです。いま、韓国の息のかかった工作機関は、日本と中韓の世論を敵対させる線で動いていると推測できます。
 ところが、この方針は日本国内の親韓国・親中国勢力を困らせています。今まで中韓は日本に同情させて金を引き出すという戦略だったのですが、それが急に変わってしまったからです。
 この時代の変化についていけず、いまだに同情させて金を引き出そうとする勢力と、日本を敵対させたい工作機関の内ゲバのようなものが起きていると考えると、最近よく見かける「もともと左翼シンパなのにネトウヨのようなことをいっている組織や人間」の説明がつきます。
 つまりはそういうことなのです。

2015年7月27日

「正義の味方」は衰退しました

 出先で、たまたま手持無沙汰だったので、朝日新聞を手に取ってみた。
 最近はファンタジーな記事が多く、ななめ読みばかりで、じっくり読む気になれなかったのですが、今日は「なぜ朝日はここまで読む気になれないのか」という視点で読んでみた。

 まず、ネットのジャーナリズムに慣れた目でみると、朝日の論説はどれもこれも「隙」が多すぎると感じました。
 論説というのはだいたい、Aという結論を導くためにBやCという論拠を準備します。Aという結論が信用できると読者が信じるには、BやCの論拠が確かなことが条件になります。
 しかし、前提となるBやCの論拠が空虚だと、Aという結論も空虚になります。つまり、私が感じた「隙」というのはこの部分であり、朝日の論説は論拠の部分が隙だらけ、スカスカなんですね。
 論説と書いているけれど、本当に論説だけならともかく、朝日新聞は時事ネタの記事さえ論拠がスカスカです。事実を淡々と書けば論拠なんていらないのに、変な因果関係を絡めて書くから記事がうさんくさいことこの上ないことになっています。

 たとえば時事記事の最後に「政府の動向が問われる」という客観にみせかけた主観の感想をいれるから、その主観がなぜ出てくるのかを記事中で説明しないといけなくなるのですが、ろくに説明しません。
 また、例の安保問題に影響を与えようとしてか、敗戦関係の記事がここしばらく、朝日新聞のなかでかなりのウェイトを占めています。70年も前のことを時事ネタとして処理しているのですが、まあ無理矢理ですよね。おかげで紙面が「丸」(旧軍関係者の回顧談をのせた軍事雑誌)もどきになっており、防空壕の思い出がどうの、朽ちた対空砲がどうのとか毎日毎日、全国紙で取り上げるようなことかと思うものを取り上げて反戦平和運動をしています。しかし、現在の安保問題と直接リンクしない70年前の時事ネタをひっくり返して反戦平和を唱えるなんて念仏を唱えるようなもので、意味がありません。
 そんな感じだから、論拠の弱い朝日の論説はどれを読んでも「結論ありきの広告」に見えてしまうわけです。これに右も左も関係ありません。単純に論拠が弱く、かつテーマも古くさいので、読者の関心をひかず、面白くないわけです。

 それで、なぜ朝日の記事の論拠が不確かになるのかといえば、紙のメディアはネットと違って、リアルタイムでの反論がありません。また、仮に反論されたとしても投書という形なので、無視するのは簡単ですし、論拠不足がなおらないところからみて実際に無視しているのでしょう。
 そういう反論のないゆるい環境で書かれた論説と、論拠の不確かなことを書けばすぐに反論され炎上するネットの論説を比べると、どちらの論説の質が高いかはすぐにわかります(細かいことをいえば、ネットの論説は字数制限が緩いため、論拠をはしょらなくてもよいというプラスな条件もあります)。
 そして、結局の所、読者が興味を持つのは論説の「ブランド」ではなく「品質」です。紙のメディアはネットに論説の品質で負けたために、読者離れが起きたのです。
 そういう意味では、新聞の論拠の不確かな言論は、2chのまとめサイトの論拠を提示しろよとレスごとに殴りあっている下品な言論に、情報量や質で負けたことになります。
 逆に、論拠なんかどうでもいいと考える人が、いまの朝日の主力読者なのでしょう。世の中的にはそういう人もいるのでしょうが、そういった人向けに紙面を作っているから、ますます論拠が雑になり、質が落ち、読者が離れていくのです。
 朝日に限らず、テレビのジャーナリズムもまた、同じ過程をたどっています。

 では、なぜ紙やテレビのマスコミは自らの主観を強調するのでしょうか?
 それは彼らが「正義の味方」を目指しているからです。横暴な政府を叩く我らジャーナリズムは正義の味方。だから新聞やテレビも売れるはず、という勘違いが論拠の弱い主観に凝り固まった記事で読者に語りかけてはばからない恥ずかしい精神を作っているのでしょう。
 しかし、情報化が進んだ現代では「正義の味方なんていない」というのが読者の常識です。そんなスレた読者に正義の味方ヅラでお説教したとして、彼らは素直に感心してくれるでしょうか?
 ブランドで守られた正義の味方といえど、理論武装が必要な時代なのです。

 読者は右と左がガチで殴り合っている姿を楽しんでいます。片方が異様に弱くすぐに殴り負けたり、八百長の気配があれば、誰もそんなつまらない試合は見てくれません。そういうガチンコ勝負を紙やテレビのジャーナリズムができるのかといえば、できないでしょう。紙やテレビにはスポンサーがついており、下品な殴り合いを許さないからです。 

・紙やテレビ媒体のジャーナリズムは論拠の弱い主観中心の記事が鼻につく。
・主観を堂々とのせるのは彼らが自分を「正義の味方」と考えているから。
・しかし、読者は「正義の味方はいない」という常識を持っている。
・ネットの草の根ジャーナリズムは主観もスポンサーもなく、右と左でガチで殴り合うから面白い。
・世の中、面白い方が読まれるから、ガチで殴り合わない紙やテレビは衰退した。

2015年7月14日

防衛費倍増と吠える元自衛隊幹部

米国が方針大転換、防衛費倍増は国を守る最低線に 米国の軍事戦略中枢部門を訪問して見えた新事実
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44181
 元陸上自衛隊西部方面総監というけっこうな肩書を持つ方の論文です。内容は、防衛費倍増で米中の技術開発に追いつけというものですが、ツッコミどころが多いので取り上げます。
 まず、アメリカは何十年もかけて軍事技術に莫大な投資をしています。仮に日本がそれをやるとしたら、防衛費倍増程度で追いつけるものではありません。
 そのうえアメリカは定期的に戦争をしていますが、それは「戦訓を得るための戦争」という側面があります。日本もアメリカに追いつくのであれば、定期的に戦争に首を突っ込まないといけません。

 戦訓の効能について、わかりやすい例でいえば、かの零戦が高性能になった理由は、当時の日本が大陸で戦争をしており、その戦訓を参考にしたからです。要するに、どんな兵器も実戦を経験することで開発のコンセプトが明確になり、成功しやすくなるわけです。逆に実戦を経験しないと、技術だけ最新でも一流の兵器は作れません。
 もちろん戦争は1種類の兵器で勝てるものではないので、種々雑多な兵器を総合的に開発しなければなりません。そうすると、予算は天井知らずになりますし、ありとあらゆる環境下で実戦を経験しなければなりません。途方もない金がかかるわけです。
 また、そうやって新兵器を開発したとしても、維持費の問題があります。かつて日本には八八艦隊計画というものがあり、それは計画の八分の一(長門級のみ完成した)しか達成されなかったのですが、その維持費だけでも国庫は悲鳴をあげました。仮に八八艦隊すべてが完成していたら、日本は戦う前に破産していたでしょう。
 本末転倒な話ですが、戦前の日本は国力を越えて肥大化した軍隊の維持費をまかなうために、海外植民地を増やしていきます。その結果が太平洋戦争であり、日本は破産よりもひどい敗戦に直面しました。

 ところで、この元陸上自衛隊西部方面総監の論文も戦前の軍人たちとまったく同じ理屈で書かれています。「敵に劣る装備では戦えない、開発費をもっとよこせ」という理屈は一見もっともに見えます。たしかに戦術レベルではその理屈はもっともなのですが、戦略レベルではその理屈は正しくありません。国力を考慮しない装備開発は国が傾くというのは、旧軍の戦訓からも明らかですし(実際、戦艦大和と新規空母の建造で国が傾いた)、戦略レベルで考えれば、国力を考慮して経済の負担にならない程度の装備で戦うのが正解です。その意味では、現状の自衛隊は予算と防衛力のバランスのとれた、よくできた組織なのです。
 この論文を書いた人は、仮にも元西部方面総監という肩書きがあるのですから、戦術レベルではなく戦略レベルで論文を書いてもらいたいものです。しかし、この人に限らず、自衛隊の将官クラスの人が引退後に書いた本の大半は、戦術的発想かつ補給軽視の本ばかりです。自衛隊そのものが将官への戦略レベルの物の見方を教育していないのかもしれません。
 むしろ、防衛費倍増なんて妄言をいうよりも、いまある防衛費でよりよい装備開発をするにはどうすればいいのかを議論すべきであり、そういう戦略レベルの視点を持った将官教育をするにはどうすればいいのかを視察したほうがよっぽど自衛隊のためになるのではないでしょうか。

 と、ここまで書いて気づいたんですが、この論文書いた人、いまは民間に天下りして三菱の顧問をしているらしい。要するに、三菱に開発費をよこせというマッチポンプな論文であって、日本の将来を考えて書いたわけではないってことですな。

2015年7月 6日

日本が衰亡の原因だった

 中世から現代までの日本と中国の関係は、考えてみるとけっこう面白い関係です。

 16世紀、秀吉の朝鮮侵攻に対抗するため、朝鮮は宗主国の明に応援を依頼。明国は日本軍と戦い、消耗します。
明国はその後、北方騎馬民族に敗北し、清国になります。
 19世紀、清国は大日本帝国と日清戦争を戦い敗北。国力を消耗した結果、中華民国になります。
 20世紀、中華民国は大日本帝国と日中戦争を戦い、消耗。共産主義勢力に乗っ取られて中華人民共和国になります。

 つまり、16世紀以降の中国の王朝交代はだいたい日本が原因です。
 逆に、日本が鎖国している江戸時代は中国の王朝も長続きをしています。
 中国からみれば、日本が大陸に進出するのは政権交代の予告みたいなものですから、できれば江戸時代のように引きこもっていてほしいのでしょう。中国共産党が全力で日本を敵視しているのも、この歴史的事実を踏まえると、自然な反応といえます。

 ところで、ドクトリン的な話をするならば、中国の伝統的な中華思想によると日本は「外縁の異民族」になります。
 中国的な考え方をすると、あなどれない外縁の異民族には、彼らが中国に侵攻しないのなら金をやって手なずけ、侵攻してくるなら長城を築いて食い止めるという考え方をします。
 日本をこの外縁の異民族とした場合、長城は海上に築くことになります。彼らが沖縄や尖閣を欲しがる理由の1つがこれです。さらに艦隊を使って防衛線を張ることになりますが、艦隊というのは陸軍の駐屯に比べて非常に予算がかかります。彼らが沖縄や尖閣を確保できてもできなくても、それは変わりません。
 かつて長城を築いた王朝がその維持費で衰亡したように、中国共産党もまた海上の長城と艦隊の維持費で衰亡していくことになるでしょう。それがわかっていながら、やらねばならないのが中国のつらいところであり、それだからこそ日本は敵視されることになります。

 これを日本からみれば、中国が軍拡すればするほど衰亡が早まるのですから、もっと軍拡しろと煽るべきであり、実際そうやっています。
 具体的には、日本の発表した対中国ドクトリンは中国包囲網を作ることであり、これはほどほどの軍事力で達成できる目標です。逆に中国側がこれに対抗しようとすると、非常に金がかかります。つまり、こちらが経済破綻せず、向こうに経済破綻させるドクトリンといえます。アジア版冷戦の構図でしょうか。
 さて、今回の上海市場の株価下落がどこまで影響するかはわかりませんが、経済的混乱が全土に波及していけば、それは社会的混乱に切り替わり、そのうちに革命勢力があらわれて中国共産党を追放することになるでしょう。
 それが5年先のことか50年先のことかはわかりませんが、その時はまた「日本が衰亡の原因だった」といわれることになるのでしょう。歴史は繰り返すのです。

2015年6月10日

リーダーは部下のために死ぬ覚悟なんてトンデモナイ!

改革者60人会議、想像以上に盛り上がった - リーダーが知っておきたい清水次郎長の一言とは?(前編)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/050800115/050800001/
改革者60人会議、想像以上に盛り上がった - リーダーが知っておきたい清水次郎長の一言とは?(後編)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/050800115/060400011/
 後編はともかく前編がひどい。
 「リーダーは部下のために死ぬ覚悟で」という次郎長型リーダーシップは耳あたりが良く、理屈的にもおかしくないように聞こえるので、ファンが大勢います。
 ところが、この次郎長型は突き詰めていくと、非常に不合理なリーダーシップです。

 日本がアジアで唯一、近代社会を迎えることができたのは、日本人が江戸時代にすでに「契約の精神」に目覚めていたからだといわれています。ところが、次郎長型リーダーシップは、契約外の献身をリーダーに強要します。契約外ですから、それでリーダーに不都合があろうとも、組織は責任をとりません。組織にとっては都合のいい考え方ですが、労働者にとっては都合の悪い考え方です。

 リーダーの仕事は「死ぬ覚悟」をすることではなく、会社やチームが迷走しないように舵取りをすることです。しかし、舵取りに失敗し、迷走したのをごまかすために「死ぬ覚悟」を持ち出すリーダーがいます。あるいは、最初から自分に能力がないのを自覚しており、部下をだまして献身を引き出す方便として「死ぬ覚悟」を使っているリーダーも多くいます。その真偽を見抜くのはコストがかかり、非常にやっかいです。

 ところで、次郎長型をありがたがる人間に限ってヤバくなると真っ先に逃げ出す傾向があります。そして、そういう人ほど俺は部下のために死ぬ覚悟があるから、部下にもそうしろと強要します。
 そうです。これは典型的なブラック企業のリーダーシップです。私もそういうリーダーを何人か見たことがあります。日本において、次郎長型を悪用する人間は、別に珍しいものではないということです。

 次郎長型の悪用を分析すると、リーダーが「思考停止」に陥っていることが原因です。危機が目前にあり、自分が死ぬ覚悟であたっても、解決策を立てられない。かといって、自分の無能を告白もできない。ゆえに部下に「死ぬ覚悟」を強要して問題の解決を図るのです。それで問題が解決しないのであれば、部下の覚悟が足りないのだと責任を回避するためでもあります。

 たしか銀河英雄伝説で反戦平和主義のジェシカ・エドワーズが、「死ぬ覚悟があるなら何をしてもいいのですか?」と兵士に問いかけ、逆切れした兵士に虐殺されるシーンがありますが、次郎長型リーダーシップを悪用する人間の行き着く先は守るべき部下を虐殺するリーダーという構図なのです。
 もっというなら、太平洋戦争末期の特攻という戦術もこの偽物の次郎長型リーダーシップが原因でした。戦争に勝つように戦術を練るのが指揮官の仕事。でも、指揮官の能力が乏しく、米軍に勝てる戦術が思い浮かばない。だから、自爆戦術を選び、部下の敢闘精神でどうにかしようとします。成果が出ないのであれば、部下の「死ぬ覚悟(敢闘精神)」が足りないからだ、と責任回避するためです。

 ところで、この次郎長型ですが、経営学で定番のドラッカーを持ち出すならともかく、いまさらこんな江戸時代の精神論を持ち出す「改革者60人会議」ってなんなんでしょうね? しかも参加者もありがたがっていますし、彼らのどこが「改革者」なんでしょうか? ただの懐古主義者じゃないんですか?
 契約外の仕事を嬉々としてやる次郎長型は、それがどんなに美しかろうが労働者の生命を危うくする思想です。一歩間違えれば部下に死を強要するブラック企業を正当化する危険な論理になります。
 次郎長的な江戸時代の精神論にしがみつく人間は、幕末にもいたし、戦前にも戦後にもいます。最近でも江戸しぐさという妙な思想が流行しました。そういうものに飛びつくのは、日本人の知的限界なのかもしれません。
 しかし、この契約に基づかない労働を美とする日本人の思考が改善されないと、契約外の献身を強要するブラック企業はいつまでたっても根絶されません。

2015年4月 9日

脱法シェアハウスが語る日本の将来

人が住む場所ではない...江東区・東雲の脱法シェアハウス! 中国人マフィアが搾取する無法地帯の実態!!
http://tocana.jp/2014/06/post_4144_entry.html
 脱法シェアハウスというのは、マンションの部屋や住宅を適当に区切って30個ほどの個室をつくり、そこに人間を押し込む住宅内アパートのこと。もちろん、いろんな法律に違反しています。しかし、かつてのネカフェ難民が、より割安な脱法シェアハウスに流れており、盛況なんだそうな。

 特に中国人が経営するシェアハウスは割安なので好評ですが、もとから日本の法律を知らないし、守る気もないので居住環境がひどいという話。狭いところに人間を詰め込むのですから異臭や衛生的にやばいのはもちろん、脱法に住んでいる大家も住人も税金を払うわけがありませんし、なかでレイプや殺人が起きても警察を呼べば脱法がばれるのでもみ消されます。
 ありていにいえば脱法シェアハウスは割れ窓理論で説明できます。割れ窓理論というのは、脱法が1件おおっぴらにやられていれば、周囲もそれに感化されて脱法するようになるという理論です。ゆえに脱法は取り締まるか、脱泡されやすい法律は制定しないことが重要です。どちらもしない場合は、脱法する住人が地域に増え、そういう住人を食い物にするヤクザが地域に流入し、どんどん治安が悪化していきます。

 警察はそうなる前に取り締まらなければなりませんし、それを防止するために交番システムが存在するのですが、実際に首都圏で脱法シェアハウスが増えていることをみると、交番が機能していないことがわかります。
 また、これは脱法シェアハウスだけを取り締まっても解決はしません。この問題の根っこは貧窮者の公的セーフティが機能していないことが原因です。ブラック企業のように労働者を搾取する企業が「雇用を生み出しているのだから」と正当化されるため、業界全体の賃金が抑制気味になります。そうすると物価上昇に対して賃金上昇も追い付かなくなり、底辺の労働者は生活するために衣食住への支出を抑え、結果として脱法シェアハウスが盛況になるわけです。また、衣食住を提供する産業も脱法系の安かろう悪かろう産業に顧客をとられ、衰退していきます。かくしてデフレスパイラルはどんどん悪化していくわけです。

 最終的にこの話は、景気が悪いのは政府がやるべき仕事をやらないから、という結論に落ち着きます。なぜやらないかといえば、政府はそれが自分の仕事と認識していないからなのでしょう。

2015年4月 2日

アメリカの海洋戦略 2015

米海軍・海兵隊・沿岸警備隊が新海洋戦略を発表
http://www.mod.go.jp/msdf/navcol/SSG/topics-column/col-060.html
米太平洋艦隊司令官、痛烈な中国批判「砂の万里の長城を築いている」
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20150401/frn1504011058002-n1.htm
 これをわかりやすくまとめてみましょう。

 ・世界中が不穏で、アメリカは手が回らない。
 ・特に中国がアメリカに挑戦している。
 ・太平洋の交易を中国がコントロールするのは許せない。
 ・米軍は交易路を守るために戦う。

 これらは太平洋戦争以前に、アメリカが日本を敵視した理由と同じです。
 太平洋戦争そのものは中国大陸の利権争いが直接のトリガーでしたが、それ以前の海軍軍拡競争は日本が太平洋西部を支配することへのいら立ちからはじまっています。これが俗にいうレインボープラン(戦前の米海軍が作成した対日戦略)につながりました。レインボープランは日本の海軍戦力を全滅させて海域の支配権をとりもどすことが目的であり、日本本土を占領するなどは考えられていませんでした。アメリカ人の考え方として、日本人が憎いとかではなく、単純に海上交通を支配したいだけなんですね。外交的な手の打ちどころはあるわけです。

 太平洋戦争も本来ならその延長だったのですが、日本の指導者が本土決戦を叫び、勝手に賭け金をレイズしてしまいます。もちろん、これはアメリカが勝負を降りる理由にはならず、日本は軍人のみならず銃後の国民を盛大に巻き込んだ敗戦に突き進みます。アメリカの交易を認め、海軍を縮小すれば手打ちができたのかもしれないのに、こじらせまくって国そのものが戦火に巻き込まれるハメになったわけです。

 このように太平洋戦争の悲惨な敗戦は突き詰めると日本の外交音痴が原因なんですが、戦後の左翼も右翼もマスコミもそのあたりを無視しているので、日本があの悲劇を再び繰り返す可能性があります。まあ、相手の意図を知らずにこちらの都合だけ叫んでいるのは、隣の半島の国のようなものなので、それをみればどれだけ恥ずかしいことかわかると思います。ほんと、ろくでもない話です。

 まあそれはともかく、現代においてアメリカは中国を危険とみなしているのですが、その戦略は中国の海軍戦力を撃滅すればいいという考え方のようです。また、中国がアメリカの利権である海上交通にタッチしないのなら共存してもいいとすら考えているようです。しかし、中国はかつての日本のように、アメリカに噛みつく気まんまんです。あげくのはてに本土決戦を叫ぶのなら、アメリカは中国本土をためらいなく焼き払うでしょう。アメリカはそういう国です。