2010年2月 2日

碧海の玉座


碧海の玉座 1巻
 ワンパターンでちょいと飽きがきていた横山信義さんの新作。第一次世界大戦の戦後処理で、日本が南洋統治領を失ったかわりに、英国が太平洋に大きく進出し、日米英の本格的な三竦み状態になります。一方ドイツはポーランド処理のもつれから、第二次世界大戦において、いきなり対ソ戦をはじめ、英仏は平和状態。日本は米国と対立する英国に満州国を認めてもらえて、中国との無駄な戦争を回避。しかし、何者かの陰謀により日英が激突する......という話。開戦の前提をごっそり変えてしまうことでマンネリを回避した感じですが、さて2巻以後も定石外しができるのか、マンネリに陥るのかどうか?

異・帝国太平洋戦争 5巻
 羅門さんの書く架空戦記は、互いの手駒をありったけに使って戦う予備兵力のないゲーム的なお話が多くて、架空戦記としてはあまりよい評価をしてこなかったのですが(現実には詰め将棋のような作戦予備をまったく用意しない素人丸出しの作戦なんて、ありえませんから)、そういった悪癖を見事に利用した設定がこの巻の見所。未来から戦争ゲーム好きのオタクがやってきて連合艦隊に指示をだしまくるというシリーズなので、素人丸出しの作戦をして大勝利するのが当たり前。だって素人が指示してるんだもの。それに対して本職の軍人さんたちが現実についてコソッと入れ知恵をして、方向修正をしてあげるという描写が実にいい。これならゲーム的な戦闘をしてもリアリティが生まれるし、ゲーム的な戦闘をしないと勝てないほど弱小な日本軍を救済することにもなります。なおかつ、敵に天才的なライバルキャラをだすことで、一方的な戦闘にならずに作品に緊張感もでる。みごとに悪癖を長所に変えたわけです。おすすめのシリーズです。

大日本帝国欧州参戦 4巻
 日独伊三国同盟......ではなく独伊ソ三国同盟が成立した世界。日本はソビエトから満州を守るために米英との連合を選ぶ。折から始まった第2次世界大戦において、ソビエトと同盟したドイツは後背の憂いもなく、フランスをくだし、アフリカ方面に全力を傾ける。しかし、地中海には英国の依頼を受けた日本の空母機動艦隊がいた、というシリーズ。あいかわらず作戦の連続なわりに日本機動部隊に疲労はなく、損失も低く見積もられすぎていますが(そうでもしないと日本は遠く離れているため補給が厳しいのはわかるんだけど)、今巻では、地上戦では枢軸軍に劣勢なものの、海上において圧倒的な連合軍という構図で、どちらに軍配が上がるかという感じですが、まあ先が読めるよね。枢軸軍も連合軍も史実以上の兵器をだしてこない(戦略環境が変わったから、そろそろ出してもいいころあいだけど)ので、ちょっとものたりない。続刊に期待。